当地には、6年に一度、丑年と未年に大きな祭礼があります。
祭りの縁起は、馬加(まくわり・今の幕張ですね)城主で、千葉氏の馬加康胤(まくわりやすたね)が行なった安産祈願と産後の御礼に由来しています。妻の無事の出産後には祭礼を行うことを約して祈願した康胤。無事に産まれ、室町時代1445年(文安二年)に始まった祭礼が今も続いている、、というわけ。
その大祭に寄り合う神社の一社から私たちが衣装の依頼を受けるようになって、今回が4回目の祭礼。6年に一度ですから、毎回初めてのような緊張感と心がざわつく繁忙感を感じます。伝統工芸の塊のような衣装は、毎回、6年後には作れなくなる危機感を伴っています。今回は、特に前回の加工先の廃業が多く、一から取引先を探す作業に追われました。
丑年と未年に催行される式年大祭。つまり前のお祭りとの間に6年の歳月がぽっかりと空きます。その6年間にさまざまなものの製作を依頼した業者さんの廃業や、あったとしてもそのものを作れなくなっているなど、難題にぶつかります。
中でも今回、店内でささやかに手作りしてお納めしていた半天の袖に縫いつける「係りの札」が、使っていた簡易印刷機「プリントゴッコ」の製造中止で、消耗品が手に入らなくなってしまいました。
おかげさまで、6年前の自分が6年後の自分のために余計に刷っておいてくれたものがあり、今回はなんとか在庫していた消耗品で注文分をまかなうことができました。でも、もう次の6年後の自分のために作っておいてあげることはできません。6年後の自分よ、ゴメン、、その時は別の知恵を絞っておくれ。