11月は、一年で最も華やかな「顔見世興行」。特に今年は、初世松本白鸚の三十三回忌追善興行を兼ねます。松本幸四郎と中村吉右衛門のお父様、市川染五郎の祖父にあたります。また、11代市川団十郎と2代尾上松緑とは兄弟にあたり、それらゆかりのある役者さんたちが顔を揃えます。
今公演で話題の演目はといえば、昼の部は新歌舞伎の「井伊大老」。夜の部なら歌舞伎十八番の「勧進帳」でしょう。昼の部の「井伊大老」は、吉右衛門が主役の井伊直弼を演じます。実は、9月20日に公開される映画『柘榴坂の仇討』でも吉右衛門が井伊直弼を演じていて、歌舞伎の舞台とスクリーンの両方で、吉右衛門の井伊大老にお目にかかれるというタイアップ企画です。
夜の部の「勧進帳」では、なんと市川染五郎が41歳にして初めて弁慶に挑みます。叔父の吉右衛門は、本来女型が勤めるのが約束の義経を、関を通すまじと義経一行の前に立ちはだかる冨樫左衛門にお父さんの松本幸四郎が、それぞれ脇を固めます。二人の弁慶役者の前で幸四郎家の御曹子が大きな試練に立ち向かいます。まさに、将来幸四郎の名を継ぐための一つの試験と言えるでしょう。
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